<この記事のまとめ>
投資商品(投資信託・ ETF)には、三つの運用スタイルがよく見られる。
「パッシブ運用」 ベンチマークの株価指数と同じ動きをするよう設計された投資商品の運用方法 ⇨ 手数料は安いがリターンは市場の平均値に落ち着く 「アクティブ運用」 独自の分析を元にベンチマークを上回るよう設計された投資商品の運用方法 ⇨ 手数料が高いがインデックス以上のリターンが期待できる 「スマートベータ運用」 ベンチマーク(株価指数)を基準に、それ以外の要因を加味したアクティブ運用を一部行う ⇨ 手数料はアクティブ運用ほど高くないが、パッシブ運用よりリターンが期待できる
スマートベータ運用は「アクティブ運用とパッシブ運用の中間的な運用スタイル」と説明されることが多いです。
「投資信託」や「ETF」など、金融商品の「詰合せパック」の数値目標として使われる「インデックス」。
よく言われる「インデックス投資」とは「目標にするインデックスと同じような値動きをする」投資商品のことですが、指数連動を目指す運用は「パッシブ運用」と呼ばれます。
目標とする指数を上回るパフォーマンスを目指すような商品もあり、それは「アクティブ運用」と呼ばれます。
じゃあ「スマートベータ運用」って何?
インデックスに比重を置か図、会社の規模や利益、株価の変動率など、特定のファクターに注目して運用される比較的新しい投資スタイルです。
従来の「インデックス」型のパッシブ運用の有用性が認められている一方で、機関投資家の間では「インデックス」という時価総額加重の評価基準だけでは、株の価値を測る基準として不適当なのではないか、という考え方がありました。
その結果として現れたのが、インデックス以外の「基準」で株を評価する「スマートベータ」という運用スタイルです。
「スマートベータ型」に明確な定義はありませんが、例えば「高配当(連続増配や高配当であること)、ボラティリティ(価格の変動が穏やかであること)、利益や資本などの企業業績」などのファクターに注目します。
三者の特徴をざっくりまとめると、以下のようになります。
- アクティブ運用(透明性✖️、経費 <高>、リターン <短期向け>)
- パッシブ運用(透明性 ◎、経費 <低>、リターン <長期向け>)
- スマートベータ運用(透明性 ◯、経費 <中>、リターン <中長期向け>)
「アクティブ運用」は業界の専門家である「ファンドマネージャー」が独自のリサーチに基づいて「高いパフォーマンス(リターン)」を目指し運用します。
ということは、ファンドマネージャーの仕事分の対価として運用手数料が高めに設定されています。
簡単にいえば「ハイリスク・ハイリターン」というイメージです。
また「独自のリサーチ」に基づいているので、どんな金融商品の組み合わせかは「企業秘密」です。買う側から見れば、投資商品の中身が不透明だともいえます。
一方「パッシブ運用」では「どのインデックスを基準にしているのか」明らかなため、透明性は明らかですし、リサーチなどは不要なため、運用手数料も安く設定されています。
しかし、この投資スタイルは「長期的」に利益が出るよう設定されているため、利益を出すのに時間がかかるという、いわば「ローリスクローリターン型」であるともいえます。
「スマートベータ運用」では、インデックス以外に「基準となる」ファクターが明らかな分、透明性もアクティブ運用よりは高いといえます。
また「市場の動き(インデックス)」以外から発生する「利益」をも獲得しようとしており、まさに、アクティブ運用とパッシブ運用の中間、と考えることができます。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がスマートベータ型の運用を取り入れていることも、スマートベータが流行りだしたきっかけと言えるそうです。
『S&P500』に連動する投資商品(パッシブ運用)の超有名どころをいくつか紹介します。
* ここ紹介している投資信託は日本にある証券会社からは購入できません。
- 投資信託の例
- Fidelity社のFidelity® 500 Index Fund(FXAIX)
- Vangard社のVanguard 500 Index Fund Investor Shares(VFINX)
- ETFの例
- Vangard社のVANGUARD IX FUN/S&P 500 ETF SHS NEW(VOO)
- State Street社のSPDR® S&P 500® ETF Trust (SPY)