イルミナ社は「高速かつ大量にDNA配列を読む機械」である「次世代シーケンサー」を販売しています。
配列を解読するまでのステップは実に複雑ですが、最終的には
4種類の「塩基」ごとに反応する「色」を高性能カメラで検出
しています。
色情報を配列情報に変換することで、DNA配列を決定しています。
『めちゃくちゃ分解能(近い位置にある二つの点を見分ける力)のある高感度カメラで、高速で写真を撮りまくっている』というのがイルミナのシーケンサーの凄いところなのです。
この記事では、
- 調べたいDNAを配列にどのような処理をするのか
- どのようにして機械にその情報を読み取らせているのか
について、ざっくり4ステップで解説します。
精細な説明資料をつくるイルミナの方に見られたらキレられるレベルで簡略化しました。
「もっとちゃんとした原理を知りたい」という方は本家のこちらの資料もご覧下さい。
Sequencing By Synthesis (SBS) ケミストリーとは何か?
目次
1. 長いDNA配列を断片化して増幅する
DNAはとにかく長いので、適切に短くする必要があります。
さて、ゲノムそのものは膨大なほどに長いのですが、1つの細胞には「1セット分のゲノム」しか入っていません。
仮に「1セット」しかDNA断片が用意できないと、イルミナのシステムではシーケンスすることはできません。
「細胞をたくさん集める」ことでゲノムの「セット数」を増やすことができます。ある程度の量の細胞(サンプル)を集める事が重要です。
DNA量を「シーケンスするのに十分な量にする」ため、また、同時に「フローセルに貼り付け、シーケンスに適した形」にするため「DNA断片を増幅」します。
COVID19で話題になった「PCR」を使って増幅をしています。
2. 二本鎖のDNA断片を「一本鎖」にする
断片化して増やしたDNA配列は「フローセル」という名前のシーケンスを行うための「ガラス基板」に貼り付けます。
この時「二本鎖」だったDNAを「一本鎖」にします。
鎖?二本鎖?
DNAは「二重らせん」です。
「塩基」は4種類ありますが、2つずつ「ペア」が決まっています。
ある塩基(たとえばA)の「ペア」になる相手の塩基のことを「相補的」な塩基(T)と言います。
ペアになっているAとTのことを「相補対」と言います。
バラバラに壊れない限り、DNA配列は基本的に「一対」だけで存在することはない「配列」(つらなった鎖)です。
そこで、ペアの「片方」のつらなりのことを「相補鎖」と呼びます。
3. 一本鎖のDNA配列をフローセルに貼り付ける
一本鎖DNAをフローセルに配置します。
この時、一本鎖DNA断片は特殊な形でさらに増幅されます。
4. 一本鎖DNAの相補鎖を合成する際に得られる「蛍光」を観測する
フローセル上で相補鎖を合成していきます。
「相補鎖を合成する」とは一本鎖DNAを元の二本鎖DNAにすることです。
合成は、フローセルの根元から始まり、一塩基ずつ伸びて(合成して)いきます。
塩基が一つ一つ「ペア」になっていくわけですが、「ペア」になる度に「蛍光」が発色します。
Aなら赤、Cなら緑、というような形です。
この色情報をフローセルから読み取ることで「DNA配列」の情報を間接的に得ることができます。
詳しくは本家の資料もぜひご覧ください。