【2020年】アメリカ大統領選挙の手順【基本編】

11月の大統領選挙本戦を控え、選挙熱が高まっています。

この記事では、意外と知らない米大統領選挙について「初心者向け知識」をご紹介します。

かなり複雑です。

米国大統領選のルールまとめ

大統領選挙では1年の間に二回、有権者の意見が問われる

1回目:政党ごとに大統領候補者を選ぶ
2回目:民主党と共和党どちらの大統領候補者にするかを選ぶ

州ごとに集計します。

米大統領選挙は制度上は間接選挙

有権者の投票に基づいて、それぞれの州に振り分けられた「代議員」と「選挙人」の数を競い合う。

間接選挙の体を取っていますが、投票用紙には「大統領候補者の名前」や「民主党or共和党」が書かれており、実質、直接選挙のようなものと言えるかもしれません。

二回の「選挙」はすべて州ごとに集計され、それぞれで「選出方法」と「集計方法」に少し違いがあります。

<選出方法の違い>
大統領候補の選出...投票と集会の二種類(州や地域・党ごと、両方行う場合も)
大統領の決定...投票
<集計方法の違い>
大統領候補の選出...『代議員』を得票率ごとに分配
大統領の決定...得票率が高かった方の党がその州の『選挙人』を総取り

本戦であっても、得票率に応じてて「選挙人」を分配する州も2州あります。

以下、詳しく説明します。

2つの驚きポイント「有権者登録」と「二回の投票」

アメリカでは「有権者が積極的に働きかけないとそもそも投票ができない」仕組みです。

有権者は選挙前に、投票を行うため「有権者登録」をする必要があります。

日本の衆議院議員選挙では、選挙前に有権者の自宅に投票の日時や投票所の場所が書かれた「投票所入場券」が郵送され、それを持って投票所に行きさえすればいいので、大きな違いを感じるポイントです。

何なら、入場券を忘れたり無くしても、身分証明証を持って行けば投票できるのが楽に見えてきます。

また、大統領を選ぶステップのうち、有権者が具体的に参加する機会は二回あります。

  1. 支持政党内で大統領候補を選ぶ(2月〜4月)
  2. 共和党と民主党のどちらの大統領にするかを選ぶ(11月)

11月の一回で済むものなのかと思ってました。

大統領選挙のプロセスと有権者の手続きについて、それぞれ詳しく解説します。

1. 支持政党内で大統領候補を選ぶ

まず、党内での「大統領候補」を選びます。

有権者は州ごとに「どの大統領候補」にするかを選びます。手続き的な部分がやや複雑ですがステップとしては、

(1)有権者が州ごとの代表者(代議員)を選ぶ
(2)その代表者(代議員)が集まり改めて大統領候補を指名する

というものです。

党内での大統領候補は、最終的に代議員だけが参加できる(2)の全国党大会で選ばれます。代議員はあらかじめ(2)の党大会で「どの候補に投票するのか」を表明し、有権者はそれを見て(1)での投票を行います。

まず(1)の選び方には複数のバリエーションがあります。

(1) 州ごとの代議員(delegates)の選出

夏の全国党大会で「大統領候補を選ぶ人(代議員)」州ごとに選出します。

アメリカ全土で民主党は 3,979人、共和党は2,359人の代議員を選びます。

その選出方法は「予備選挙(Primary)」または党員集会(Caucus)」の二種類がありますが、どちらで決めるかは州ごと、また党ごとに異なります。

予備選挙…「投票所に行き投票する」スタイル。
党員集会…「集会」により候補者を決めるスタイル。

代議員は州ごとの割り当て人数が決まっています。

予備選挙の場合は、得票率に応じて割り当て代議員が分配されます。

一方の党員集会は

「集会?!」と思う所ですが、ここでアイオワ州の党員集会について少し紹介します。

アイオワの党員集会は共和・民主両党ともに、現地時間の2月3日午後7時から州内のおよそ1700の地区で行われる。党員が公共施設や個人の住宅に集まり、それぞれの地区で候補者を選ぶ。

アイオワ党員集会とは(NHKおうちで学ぼう)

小さな集会をたくさん開いて演説をし、集まった人はその演説によって誰にするかを選びます。集計方法は挙手や投票などです。

少し考えただけでも、党員集会は複雑かつ時間がかかりそうです。

そうした理由から今は「党員集会」で代議員を選ぶ州は少数派です。

2020年ではアイオワ州、カンサス州、ネバダ州、ノースダコタ州、メイン州、ワイオミング州の6州のみが党員集会を行なっています(出典)。

実は予備選挙にもオープン型とクローズ型の二種類がありますが詳しくは「有権者登録」の項目をご覧ください。

(2)全国党大会による大統領・副大統領候補の指名

夏に、各党が全国党大会を開催し、大統領選の指名候補者(presidential nominee)と党の基本方針であるマニュフェスト(政策綱領)が決定されます。

民主党全国党大会(Democratic National Convention)
共和党全国党大会(Republican National Convention)

副大統領候補は、この場で指名された「大統領候補者」が後日、改めて指名します。

2. 共和党か民主党どちらかの大統領候補を選ぶ(投票日:2020年11月3日)

選挙人争奪戦

いわゆる「大統領選挙」といえば誰もが想像するのがこの投票日。

「州の人口ごとに割り当てられた選挙人」を何人獲得するかを競います。

有権者は「共和党」か「民主党」のどちらかを選択します。

選ばれた選挙人が後日新ためて「どちらかの大統領」に投票するので、手続き上は「間接選挙」なのです。

「選挙人の総取り」システム

選挙人は全州を合わせると何人いるのでしょうか。

総数は538人なので、当選に必要な人数は270人だ。

BBC (【米大統領選2020】 どういう仕組みかなるべく簡単に解説)

共和党か民主党のうち、得票率が多かった政党が「その州に割り当てられた選挙人を総取り」します。

例外として、メイン州とネブラスカ州では得票数人応じて選挙人の数が割り当てられます。

「総取り」だと、落選した方の票が「全く反映されない」ようにも見えるから、メイン・ネブラスカ州式の方が、直感的に良いように見えるけど…。

この総取りシステムは、すなわち「得票率」が高い =「必ず当選」という図式が成り立たないことを意味しています。

実際、2016年の大統領選挙では、両陣営の「得票率」と当選した「選挙人の数」は一致していません。

総得票数が多かったHillaryが敗北しています。

Hillary Clinton(民主党)得票数 65,853,625 票 (48.0%), 232人の選挙人獲得

Donald J. Trump(共和党)得票数 62,985,106 票 (45.9%), 206人の選挙人獲得

大事なのは「何人の選挙人を獲得するのか」なのです。

2016年の州ごとの内訳詳細は、下記に分かりやすい図が乗っています。

Presidential Election Results: Donald J. Trump Wins

投票に必要な「有権者登録」と投票時の「身分証明書」

選挙で投票するためには18歳以上であること以外に「有権者登録」をしなければいけません。

有権者登録とは、自分の住む州の選挙管理委員会に対し、自分の名前を「選挙人名簿」に載せてもらう手続きのことです。

この手続きがなされていない人は、たとえ投票しても有効票に数えられません。

これは、投票資格のない人(その州に住んでいない人や18歳未満の人)をきちんと排除して「正しい」選挙結果を得るためものです。

A州でもB州でも投票!なんてしても意味がないわけです。

有権者登録(Registor of Votors)を呼びかける公式動画

一方で「投票するための登録」や「選挙時に身分証明書の提示を求める」など、「投票するための手続きが厳しい」ことに批判もあります。

特定の集団を選挙から排除しようという圧力として使われてきた歴史もあります。

選挙人登録や投票所での本人確認の厳格化は、日々の暮らしに追われてIDを持っていない貧困層の投票を難しくする。事実、アメリカには、IDがなかったり、選挙人登録に行く余裕がなかったりして貧困層の投票機会は失われている、と指摘する研究者もいる。

【世界選挙紀行】アメリカ③えっ?投票するのに「登録」が必要!?(NHK選挙web

有権者登録は州ごとに管理されているため、州を跨いで引越しした場合には登録し直す必要があります。

州内に同姓同名の人物がいる場合、登録が削除されることもあるのだとか…

予備選挙のオープン型とクローズ型

予備選挙にも種類があり「有権者が党員」でないと投票できんないクローズ型とその州の在住者でさえあれば良いオープン型の二種類があります。

党員?!どうすればなれるの?

有権者登録の際にどちらの党の支持者かを表明すれば「党員」とみなされます。

2020年の大統領選は…

普段ならあるはずの大規模な選挙演説や討論会はCOVID-19のせいで開催されず、2020年の選挙活動は大きく混乱しているようです。

【米大統領選2020】 極めて異例の選挙に 新型ウイルス、郵便投票、さらに…(動画)

トランプ大統領がCOVID-19 positiveになるなど、いつも以上に話題に尽きない大統領選と言えます。

第一回大統領候補者討論会のハイライト

全米各紙で酷評された今選挙の「第一回候補者ディベート」はこちらのハイライトを見れば概ねの様子がわかります。

誇張してるだけでは?と思うかもしれませんが、全編マジでこんな感じです。

参考資料

American center Japan

・有権者登録って何?テイラー・スウィフトも声を上げたアメリカの政治制度Youtube Magazine

・早わかり「米国の選挙」(米国大使館レファレンス資料室 アメリカンセンター・レファレンス資料室

・【解説】 米大統領選の予備選・党員集会、何のため?(BBC

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