この記事では大統領選について争点になっている「細かい話・気になる話題」をお伝えします。
大統領選挙の「基本」についてはぜひ以下の記事もご参照ください。
アイオワ州とニューハンプシャー州が「党の大統領候補」を決める?
共和党と民主党がそれぞれ「大統領候補者」を決定するための「党員集会・予備選挙」。
慣例として党員集会は「アイオワ州」から、予備選挙は「ニューハンプシャー州」から始まります。
最も早く「候補者選出」を行なう両州の選挙活動は、非常に注目度が高くなります。
立候補者は誰も脱落しておらず(候補者が一番多い状態なので)、話題に富んでいるからです。
2020年共和党の次期大統領候補は「現職のトランプ氏一択」ですが、民主党では多くの立候補があり、誰が「大統領候補」に選ばれるのかは大きく注目されました。
カーター大統領が勝利した1976年の大統領選挙以降、92年のクリントン大統領を除き、この両州のどちらかで勝った候補が民主党では大統領候補の指名を受けると言われている。
米大統領選「当選可能性」で浮上したブティジェッジとクロブシャー(日経ビジネス)
2020年の「大統領候補」のジンクスとしては、こちらは外れてしまいました。
民主党の大統領候補として選ばれたJoe Biden氏は、アイオワ州では第4位ニューハンプシャー州では第5位といずれも敗北しています。
本戦では「オハイオ州」が結果を知っている?
オハイオ州は両党の間で票が割れる「Swing State」の一つです。
トランプ氏とバイデン氏のうち、この州で「勝った」候補者が最終的に「次期大統領となる」というジンクスがあります。
中西部オハイオ州は、人口が1100万人と全米で7番目に多い州で、18人の選挙人が割り当てられています。人種の構成や産業の分布が全米の平均値に近いことから、「アメリカの縮図」とも呼ばれています。
アメリカ大統領選2016年 オハイオ州(中西部)
1964年以降、このジンクスは破られたことがないそうです。
9月の株価で「現職」か「新しい候補」が勝つかがわかる?
株価にまつわる「ジンクス」もあります。
株価指数として有名なS&P500の「選挙戦直前の3ヶ月(90日間)」の値動きによって「現職」が勝つか「挑戦者」が勝つかを予想できると言うものです。
If “stocks are higher the incumbent party wins, stocks are lower the opposition party wins,” Dan Clifton said on CNBC’s “The Exchange” on Monday.
The stock market’s performance over the next 3 months will determine the election, Strategas says (CNBC)
大統領選直前の3ヶ月の株価がプラスだったら現職「トランプ氏」が、マイナスなら「バイデン氏」が勝つと言うジンクスです。
「米国経済が好調」 = 「株価が上昇」 = 「現職大統領(の党)が有利」
と言う図式で、1928年以降の「大統領予想」は82%の正答率なのだそうです。
現在の株価はどうでしょうか?
9月はじめにS&P500が最高値を更新して以来、株価は不調でしたが10月はじめ現在では株価は上昇局面に転じています。
11月から見て「三ヶ月前」、つまり8月から現在までを見るとすると、上昇トレンドと言えるのかもしれません。
今後の株価の値動きの様子で勝者がわかるかもしれません。
COVID-19で郵便投票が争点に
COVID-19の影響により今年の大統領選挙は「郵便投票」を選択する市民が増える見込みです。
郵便投票の場合、多くの州で10月末まで
この状況に対し、現トランプ大統領は「郵便投票は不正が多くて信用ならん」と繰り返し訴えています。
トランプ氏、大統領選での2回投票を有権者に提案 批判高まる(ロイター)
もちろんtwitter社やfacebookでは問題のある発言として拡散防止措置が取られました。
トランプ大統領の発言で二重投票による混乱が促進される?
大統領がこのような態度をとることで人々に「二重投票」を促してしまわないか、懸念が広がっています。
すでに予備選挙で「確認のための二重投票」が行われていた事実も明らかになりました。
6月に実施された予備選挙で、郵便投票を行ったおよそ1000人が投票所を訪れて二重投票を行っていたというのだ。(中略)会見した州務長官は語気を強めた。
「ジョージア州で二重投票は重罪だ。必ず検挙する」
郵便投票が急増、現地の悲鳴(NHKお家で学ぼう)
トランプ大統領が執拗に「郵便投票」に反対する理由
トランプ大統領と一部の共和党民は「郵便投票にすることでなりすまし投票などの不正が起こる」と主張しています。
他にも「郵便投票が投票のハードルを低くすることで、投票率が上がる」ことを「懸念」しています。
彼らは「投票率の上昇 = 民主党票の上昇」と考えているからです。
民主党は一般的に低所得者やマイノリティなどから多く支持を集めているため、そうした票が郵便投票で反映されてしまうことを恐れているようです。
マイノリティが郵便投票でどう利益を被るのか、また「そもそも貧困層は切手代すらない(郵便投票にしたところで投票できるのか?)」という意見もあることから、真偽のほどは定かではありません。
郵便投票で不正は起きるのか?
これまでも郵便投票自体はあったはず。実際に不正が起こってるの?
各州の努力の甲斐あって「これまで」に関して言えば非常に少ない、と言えそうです。
こうした事例を研究するロヨラ大学法科大学院のジャスティン・レビット法律学教授によると、米国の00年から14年の選挙で、投票件数10億件超のうち、成り済ましはわずか31件だった。
コロラド、ハワイ、オレゴン、ユタ、ワシントンの5州は現在、選挙を主に郵便投票で実施するが、不正はほとんど記録されていない。
オレゴン州は00年以降、1億通を超える投票用紙を郵送してきたが、不正が立証されたのは12件ほどだ。
アングル:米大統領選、郵便投票で不正がほぼ不可能な理由(ロイター)
不正はなくても11月3日の本戦では混乱は必死?
今年はCOVID-19の影響でこれまでとは異なるレベルで「非常に多くの」郵便投票が行なわれることが予想されます。
実際に、大統領選挙と並行して行われる「下院選」におけるNY州の予備選挙で、郵便投票によって決着がつくまで3週間かかった様子が報じられています。
接戦だったからではない。(中略)答えは、ただ単純に集計作業に手間取ったからだ。
この予備選ではニューヨーク市の有権者40万人超が郵便投票を行った。郵便投票では郵送された封書を1通ずつ開けて、票の有効性を確認した上でカウントすることになる。
運命の大統領選、投票後のアメリカを待つカオス─両陣営の勝利宣言で全米は大混乱に(Newsweek日本)
11月3日の大統領選(連邦議会選)がすんなりと決着するのは難しそうです。
世論調査と異なる選挙結果
前回2016年の大統領選では「当選するだろう」と予想されていた民主党候補クリントン氏を共和党候補のトランプ氏が下した様が印象的でした。
ちなみに得票率はクリントン氏の方が高かったものの、選挙人を多く獲得したのはトランプ氏でした。接戦であったのは間違いありません。
特に、過去の大統領選で驚異的な的中率を見せていた「ファイブサーティエイト」も予想を外しました。
ファイブサーティエイト(FiveThirtyEight、時々538と表記される)は、世論調査の分析、政治、経済、スポーツブログを中心としたウェブサイト。
Wikipedia
これは世論調査の「分析」ではなく「世論調査」のデータそのものがそもそも間違っていた(ただしく民意を反映していなかった)可能性を示しています。
まるで世論調査の結果が「反映されていない」かのような結果になったことについて、たくさんの専門家が理由を検討しています。
- 投票先を直前まで決めていなかった有権者がトランプに流れた
- 世論調査に正直に回答しない「隠れトランプ支持者」がいた
- 世論調査標本の重み付けの際、トランプ支持が強い大卒未満有権者を実際の母集団より過小評価してしまった
上記の理由の中でも、最も有力視されているのは三つ目の理由のようです(出展:東京財団政策研究所より「共和党全国大会とトランプ再選の展望」にあるAmerican Association for Public Opinion Research)。
ちなみに「隠れトランプ支持」の理由は、トランプ氏が「人種・性差別的な発言」を繰り返しており「トランプ支持」を表することで自分も「差別主義者だ」と思われることを嫌ったという理路です。
2020年も「サイレント・マジョリティ」によってトランプ氏が当選するのか?
上記の東京財団政策研究所の考察記事では、2020年の選挙においては、隠れたサイレント・マジョリティが共和党表を押し上げる可能性は低いと予想しています。
- すでに現職の大統領支持を宣言することは前回ほど「憚られる」ことではない(支持表明しやすい)
- 世論調査の集計方法に改善が施されている
以下のサイトでは「候補者」の支持され状況(一週間ごとに更新、州ごとマッピングあり)を見ることができます。
世論調査から見る最新情勢(2020年大統領選)
10月1日現在の世論調査では「バイデン50.1%、トランプ42.9%」となっています。
政策的にあなたはどっち派?早分かりサイト
こちらのサイトではいくつかの質問に答えることであなたの希望にあう支持政党を調べることができます(日本語で回答できます)。