【見どころ解説】映画「ハドソン川の奇跡」【ネタバレなし】

映画「ハドソン川の奇跡」

2009年、ニューヨークで起こった奇跡の不時着事故を描いた映画「ハドソン川の奇跡」。

離陸まもなく航空機がバードストライクに遭い、ハドソン川に不時着します。

事故の様子と、アメリカ国家運輸安全委員会(NTSB)が行った事故調査、それに伴うサレンバーガー機長の葛藤が描かれています。

映画「ハドソン川の奇跡」予告編

この映画は、以下の人におすすめです。

  • 飛行機が好き(めったに見ることのない「川に浮かぶ」A320)
  • クリントイーストウッド監督のファン(ハズレなし)
  • トム・ハンクスが好き(最高の演技)
  • 航空機事故の一例を見たい(リアルな再現)
  • 乗客の救出に関わった「全ての人」の活躍を見たい
  • 事故時の「管制官」の様子を知りたい
  • 自己調査の現実を知りたい(やや露悪的な誇張アリなので注意)

条件に当てはまらない人にもおすすめです。

「なるべく真っ白の状態で映画を見たい」という方は⬇️へどうぞ。

Hulu(ハドソン川の奇跡)やAmazon Primeで視聴可能です。

「ヒーロー」として有名になったサレンバーガー機長の人柄と、知られざる葛藤には胸打たれます。

この記事では(なるべく)ネタバレなしで見所について解説します。

事故の詳細についてはこちらの記事もご参照ください。

複数の視点から描かれる「不時着まで」

映画は「事故後のサリー機長の葛藤」を軸にストーリーが展開されます。

その中で、事故の一連の流れが「複数の視点」から繰り返し描かれます。

視聴していると、少なくとも、

  • コックピットにいたクルーたち(基調と副操縦士)
  • 航空管制官(たち)
  • 乗客たち
  • 救助に駆けつけた人々

といった視点から事故を「再確認」させられます。

様々な視点を介するおかげで、事故の様子やその恐ろしさをより克明に理解することができる作りになっています。

見るとネタバレになってしまいますが、以下の動画では、映画中で描かれる「離陸から着水まで」の一例を見ることができます。

地上管制官は事故機に乗るクルーの声を聞く「最後の人」

「道路」「信号」「標識」など何もない上空で、たくさんの飛行機が安全に行き交うのに欠かせないのが「航空交通管制官」です。

日本では国土交通省管轄の「国家公務員」に当たります。

その仕事柄、航空交通管制官は、墜落しつつある飛行機のクルーの声を聴く「最後の人」になります。

映画中にも事故の検証としてATCを聞く場面があります。

事故当時の航空交通管制(ATC)の音声記録では、管制官とパイロットの冷静なやりとりの様子を聞くことができます。

ややマニアックですが当時の(映画ではない本物の)ATC音声をYoutubeで聞くことができます。

“Cactus 1549″は事故機の呼称です。
“1529”と呼び間違えられる場面もあります。

緊急事態に際して「管制官」が必要な情報の取捨選択、様々な指示をこなしている様を伺い見ることができます。

映画がいかに忠実に作られているかがわかります。

アメリカが求めた「ハッピーストーリー」

事故後「ヒーロー」として盛んにもてはやされたサレンバーガー機長。

そのあまりの賞賛の大きさに戸惑ったそうです。

彼は、事故後のインタビューや著書の中でも一貫して、

「自分はヒーロではない」

と何度も語っています。

「自分たちはどうしようもなく非常事態に向き合わされた。自ら危険に挑み何かを成功させたのとは違う。」と言うのがその主張です。

彼は自分たちクルーが事故に善処し、また、多くの人が適切に振る舞ったおかげで生還することができた、と謙虚な姿勢を崩しません。

2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降、NYは悪いニュースばかりに支配されていました。

9.11、イラク戦争、リーマンショックで沈み込んでいたアメリカで、どのようにこの奇跡が扱われたのか。

「ハドソン川の奇跡」を生んだ2人の“即断”

この奇跡の生還は落ち込むアメリカ国民にとって、久しぶりの「明るい」ニュースであったこと、また、人々がこの「奇跡」によって大いに励まされたことは紛れもない事実です。

少しわかりにくいですが、事故当時の着水の様子を捉えた定点カメラの映像です。

画面左端にUS Airways 1549が着水します。

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