新東京国際空港(羽田空港)では2020年3月29日から、国際線を増便しました。そのために一部時間帯で飛行経路を変更します。
目次
どうして増えることになったの?
近年、国外からの訪問者が増えています。
日本政府観光局の調査によると、2018年の訪日観光客は3000万人を突破しました。
また、2011年から2015年までの訪日観光客は33%も増加し、これは世界で最も高い増加率となりました。
海外との玄関口となっているのは、羽田空港か?と思いきや、実は、国際線利用者数は成田、関空についで羽田空港は第3位となっています。
羽田空港は国内線利用者数・離着陸数は間違いなく日本一ですが、まだまだ、世界に開かれた空港とはいえないのが現実でした。
海外からの人の流れを活性化させるためにも羽田空港の国際線を増便することになりました。
この計画は2014年に発表されています。
経済効果はどれくらい見込めるのか?
政府が目指す「2020年の訪日観光客数を4000万人」を達成すれば、その経済効果は年間6500億円にのぼると試算しています。
首都圏の国際競争力を高めることはもちろんですが、羽田空港の特徴として「充実した国内線網」があります。
羽田空港に来た外国人が、羽田を中継してさらに地方に足を向けやすくする狙いもあります。
地方と首都圏の人やものの流れをいっそう活性化することが期待されます。
延期になってしまったけれど、東京オリンピックで海外の人がたくさん訪れてくれれば、今後、観光客としてリピーター担ってもらうための良い宣伝になりそうです。
増便の理由まとめ
- ビジネス・観光での訪日機会を増やし、将来の雇用や経済を持続可能なものにする狙いがある。
- 羽田空港は国内線が充実しており、羽田空港での接続を介して地方と世界をつなぐ事ができる。
- 世界的な航空需要がアジア地域を中心に更に伸びると予想されている。
- アクセスの面では羽田空港の方が都心に近い。
飛行ルートを変更して増便する
離着陸のルートを変更することで、増便します。
それまでの飛行ルートでは、飛行機の離着陸数を増やせません。
かといって、滑走路を増やせば解決する訳でもありませんでした。
なぜなら、羽田空港には既に滑走路が4本もあり、盛んに離着陸が行われています。
上空での機体数を調整することまで考えると、滑走路を増やすより、新しい経路を使った方が離着陸数を増やせることがシュミレーションの結果、明らかになったそうです。
以下は、今回導入される南風時の新ルート(好天時)です。
飛行機は着陸時に向かい風が必要で、羽田空港では季節や時間帯によって南風または北風が吹きます。
今回の変更は主に南風が吹いている時の着陸ルートです。
天候によって二種類考えられていますが、進入経路はほぼ同じようなルートになっています。
飛行経路の詳細は、国土交通省の特設ページ(滑走路の新しい使われ方)で閲覧可能です。
騒音や落下物など、甚大な被害が起きないよう、運用時間も15時から〜19時に限定するそうです。
以下は落下物に対する対策についてまとめた動画です。
2020年3月29日から開始
3月29日に夏ダイヤが始まるため、これに合わせて運用が開始されました。
4月2日までは運用の条件となる南風が吹かなかったため、実際には4月3日が初めての運用となりました。初日は、68機の飛行機が新ルートを飛行したそうです。
しかし、世界的に猛威を振るう新型ウイルス(COVID-19)の影響で運行便が大幅に減少しています。特に4月3日現在では、海外便は8割減となっています。
1日あたり50便も増便できる
羽田空港の国際線は6万回/年から、9.9万回/年に増便できるそうです。
1日あたり50便の増便になります(深夜・早朝の時間帯を除く)。
一例としてJALでは羽田発着の国際線は一日あたり22便から34便に増えます。
デメリットは?安全上の懸念
ルート変更により都心の真上を低空で飛行機が飛ぶことについて、発表当時から騒音問題や落下物の事故を指摘する声が上がっていました。
またこれらの問題の他に、重大な懸念事項があります。
ルートが変わったことで、飛行機の降下角度(進入角)が急になったのです。
この点については以下の記事で詳しく紹介します。
参考資料
日本経済新聞(訪日客が地方潤す、消費額1兆円超え 観光白書)
Mckinsey & Company(Can inbound tourism fuel Japan’s economic growth?)