【基本を解説】信用取引の危うさ【借り入れ投資】

株取引などで行われる「信用取引」は「手元にある現金」が少なくても「資産を大きく増やせる取引方法」として紹介されます。

「レバレッジ」をかけたりするやつですよね。難しそうだけど、何か問題があるの?

もし、株取引をしたいあなたが10万円を持っていて、誰かに「利子付きだけど20万円を貸すよ!儲けた分で利子払ってね!」と言われたらどうでしょう?

え?儲けて利子払えるかわからないし、自分の持ってる分でやるよ?

上の例がまさに信用取引なのです。

このページでは信用取引の基本的な原理とギャンブル性について、以下のことに触れつつ紹介します。

  • 信用取引とは何か?
  • レバレッジを使うことにどんな旨味があるのか?
  • レバレッジを効かせない信用取引は存在する(成り立つ)のか?

また信用取引で頻出する、以下の基本的な専門用語についても解説します。

  • 建玉(たてぎょく)
  • 買い建玉(かいたてぎょく = 買いポジ)
  • 売り建玉(うりたてぎょく= 売りポジ)
  • レバレッジ
  • 委託保証金(いたくほしょうきん)
  • 追加証拠金(ついかしょうこきん = 追証(おいしょう))

信用取引とは?一般的な現物取引との違い

信用取引は「信用」を担保に「お金」または「株券」を借りて取引をすることです。

ストレートに「持っている金で株を買う」「持っている株を売る」のは現物取引です。

現物取引の例

「お金を借りて」株を買い、株価が上がったら売る「信用買い」

もし、これから相場が「上がる」ことがわかっていれば、安い時に買い株価が上がった後で売れば、その利ザヤ(差分)が収益になります。

その「差」による儲けは、元々の掛け金が大きいほど「大きく」なります。

信用買の例(*手数料と利子は省略)

「信用買い」では、より「多くの利益」を得るために、一定の元本を担保にして証券会社からお金を借り、その分を株に投資することができるのです。

ただし「お金を借りる」のは普通に借金なので、株を購入して株価が上がるのを待ち、お金を返却するまでの間、当然ながら「利子」がつきます。

利子は株の売買手数料などとともに「儲け」の中から、差し引かれます。

「株を借り、それを売り」現金を得て、安くなった時に株を買い戻す(返却する)「信用売り」

「私が持っているこの100株を貸してあげる。上手く売って利益が出たら利子付きで返してね!」これが信用売りです。

「信用買い」より少しややこしく感じられますが「信用売り」では、証券会社からお金ではなく「株式」を借ります。

もし、これから相場が「下がる」ことがわかっていれば明日明後日より「今」が「値が高い」時です。「今」売れば、値下がり後に売るより「多くの現金」を手に入れることができます。

そこで「株を借りて」それを売り、現金を得ます。しかし「借りた株」は返さなければいけないので、値下がり後に「安くなった株」を買います。

値下がり後は「今」よりも安く株を買えるので、結果的に「安い費用」で借りた分の株を返すことができます。

信用売りの例(*手数料と利子は省略)

利子は株の売買手数料などとともに「儲け」の中から、差し引かれます。

玉?買いポジ?売りポジ?専門用語

「建玉」は「たてぎょく」と読みます。

たま、ではないんですね。「宝もの」的な意味の「玉」。

信用買いで「建てた」= つくった「株銘柄」のことを「買い建玉」と言い、信用買いをして、株を維持する事を「買いポジション」と言います。

信用買いの場合「持っているだけで経費がかかる(利子がかかる)」ので、買建玉を売って「借りた分と利子を清算する」事を「決済する」と表現します。

「ポジション」は「損益が発生する状態にあること」を指します。

また「信用売り」をして「売った株銘柄」の事を「売り建玉」と表現し、「信用売り」で未決済株を維持する事を「売りポジション」と言います。

「レバレッジ」を効かせると価格変動に対する損益が大きくなる

信用取引では「自分の手元にないはずのお金・株式」を「借りて」投資します。

もちろん「借りる」ときには必ず担保となる「元手」が必要です。

レバレッジは「損益を増減させるあらゆる手法」のことで、具体的には『元手をどの程度「カサ増し」するか』を指す言葉です。

「レバレッジ2倍での取引」などと言ったりします。

より多くのお金を動かせば、価格変動が起こった時にその「差」が大きくなるのです。ただし「差」は「利益」の場合もあれば「損失」の場合もあります。

この点がまさに「ギャンブル」です。

委託保証金と追加証拠金

レバレッジを効かせることは「お金や株を借りる」ことですが、借りられる量は当然「無限」なんてことはありません。

「担保に対して何%まで」と言う決められた割合があります。

基本的に「持っている額の約3倍」です。

取引を始めるために必要な最低限の「担保」が「委託保証金」です。

「委託保証金」はどれくらいあればいのか?これには、決められた二つの条件があり「取引したい額の30%」かつ「30万円以上」です。

50万円の取引をしたければ、計算上は30%分の15万円でいいはずですが、二つ目の条件を同時に満たす必要があるので、結局、30万円が必要です。

現金以外にも、もっている株券もその時価総額の80%分までを「委託保証金」として使えます。

持ってる株も委託保証金にできるの?でも、その持ってる株価(価値)も変動するよね?

その通りです。

もしも、株価が下がりすぎて「本来担保として働く分以下のお値段」になってしまった場合は、追加でお金を入れなくてはいけません。

これが「追加証拠金」= 追証(おいしょう)です。

また、信用取引をして「ポジション」を持っている時、思い通りに株価が上がったり下がったりしなかった場合、予期せぬ「損失」が出てしまうこともあります。

損失が大きくなりすぎて、証券会社が「返済不可能」と判断した場合には、強制的に決済が行われ、その時点で発生した「損失」「借りたお金」「利息」を清算させられることになります。

損失が出ている時でも「ポジション」を維持したい場合には、証券会社にさらに「追加証拠金」を払うことで「買いポジ」または「売りポジ」を続けることができます。

しばらく待つことで思い通りの結果に行き着けば良いですが、大きなレバレッジをかける信用取引が恐ろしいのは「追証」を払えずに「強制終了」となり、続けていれば得られた儲けを得られないまま「借金」になる可能性があるからです。

プロセスが複数ありその度に手数料がかかる

現物取引と信用取引の違いは、手数料やプロセスの複雑性にあるとも言えます。

取引の各プロセスで必要な手数料

各項目の手数料や「手数料が発生するまでの期限」は証券会社によってまちまちです。

しかし、項目だけ見ても、信用取引には様々な段階で手数料が必要なことがわかります。

でも、信用取引をやってる人はいるし、勝てる見込みがあればいいのかな?勉強したら「勝てる見込み」が増えるのでは?

株の値動き(相場)は誰にも予想がつきません。

「借金するリスク」や資金力があれば、自分の信念に基づき投資をするのは自由です。

しかし、信用取引にはリスクとコストが大きくかかることは理解してから手を出してください。

投資素人が手を出すべき投資方法ではないのは間違いありません。

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